買ってから1年ほど放置したことになります。
病院に往復する電車の中で、ほぼ読み終わりました。
いや~、面白いですね。
他愛ない話が3つ。
主人公が作家の関口ではなく、製図工の本島なので、さほど深刻な話にはなりません。
しかし、独立した3つの話があるように見せかけて、実は1冊を通して一貫したドラマの流れがあるのが面白い趣向です。しかも、招き猫で始まり、招き猫で終わるという面白い趣向まで凝らされています。
最も面白いのは、やはり榎木津ですね。これに限って言えば、中禅寺よりも榎木津です。
特に、2番目のエピソードの最後で、入ってくるなら好き勝手に振る舞い、霊感探偵の筋書きを圧倒的にぶち壊していく様は爽快ですね。
それに加えて、最後のエピソードのラストシーンで、榎木津も、また榎木津という仮面をかぶった存在であることが示唆されるというのも面白いですね。
ある種の虚構性に満ち溢れています。
本来、あるがままに振る舞い、虚構性をぶち壊していく榎木津もまた、虚構性を中に持つ存在だと言うことですね。